ヒマシ油は、トウゴマの種子から作られる、濃厚で無臭の油です。その使用は古代エジプトにまで遡り、ランプの燃料としてだけでなく、薬用や美容目的でも使用されていたと考えられています。クレオパトラは白目を明るくするためにヒマシ油を使用したと伝えられています。
現在、そのほとんどがインドで生産されています。下剤として、またスキンケア製品やヘアケア製品にも使われています。また、エンジンオイルなどの原料としても使われています。FDA(米国食品医薬品局)は便秘治療には安全だと述べていますが、研究者たちはその他の健康効果の可能性についてはまだ調査中です。
ヒマシ油の効能
このオイルの伝統的な健康効果については、ほとんど研究されていません。しかし、その潜在的な健康効果には以下のようなものがあります。
便秘に効くヒマシ油
FDA が承認したヒマシ油の健康用途は、一時的な便秘を緩和する天然の下剤としての使用のみです。
リシノール酸が腸内の受容体に結合し、筋肉を収縮させて便を結腸から排出します。
大腸内視鏡検査などの検査の前に、結腸を洗浄するために使われることもあります。ただし、医師はより良い効果が得られる他の下剤を処方してくれることもあります。
腹痛や膨満感などの副作用が出る可能性があるため、長期の便秘解消には使用しないでください。便秘が数日以上続く場合は、医師にご相談ください。
陣痛を誘発するヒマシ油
何世紀にもわたって、ヒマシ油は陣痛や出産時の補助として使用されてきました。実際、1999年の調査では、米国の助産師の93%が陣痛を誘発するためにヒマシ油を使用していました。しかし、効果がある可能性を示唆する研究がある一方で、効果がないと結論付けられた研究もあります。妊娠中の方は、医師に相談せずにヒマシ油を使用しないでください。
抗炎症作用
動物実験では、リシノール酸を皮膚に塗布すると、炎症による腫れや痛みを抑える効果があることが示されています。また、ヒトを対象としたある研究では、膝関節炎の症状治療において、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と同等の効果があることが示されました。
しかし、これについてはさらに多くの研究が必要です。
傷の治癒を助ける可能性がある
ヒマシ油には抗菌作用があり、特に他の成分と組み合わせることで、傷の治癒を早める効果があるとされています。ヒマシ油とペルーバルサムを配合したベネレックスは、皮膚創や褥瘡の治療に使用される軟膏です。
このオイルは傷口に潤いを与えて感染を防ぐのに役立ち、リシノール酸は炎症を軽減します。
軽い切り傷や火傷には、家庭でヒマシ油を使用しないでください。ヒマシ油は、診療所や病院でのみ傷のケアに推奨されています。
ヒマシ油の肌への効果
脂肪酸が豊富なヒマシ油は保湿効果があります。多くの市販の美容製品に含まれています。香料や着色料を含まない天然のヒマシ油も使用できます。肌に刺激を与える可能性があるため、他の中性オイルで薄めて使用するのがおすすめです。
ヒマシ油の抗菌作用、抗炎症作用、保湿作用がニキビ対策に効果があると考える人もいますが、それを裏付ける研究結果はありません。
育毛のためのヒマシ油
ヒマシ油は、頭皮の乾燥、育毛、フケの治療薬として販売されることがあります。頭皮と髪に潤いを与えることはありますが、フケの治療や育毛促進に効果があるという主張を裏付ける科学的根拠はありません。
実際、髪にヒマシ油を使用すると、フェルト化と呼ばれるまれな症状を引き起こす可能性があります。フェルト化とは、髪が絡まりすぎて切らなければならない状態です。
投稿日時: 2023年10月7日